
今回は、売買ルールの重要性について解説します。
初心者が株で稼ぐためにまず知っておかなければならないのが、「売買ルール」なるものの存在です。
「株で稼ぐには、いい銘柄を見つける必要がある」
こんな風に思っていないでしょうか?
もしそうなら、その考えはもう捨ててください。
いい銘柄を探しても、ルールが決まっていないと、その銘柄をうまくトレードすることができません。
そしてうまくトレードするとは、そのトレードに勝つことではありません。
そのトレードを含めて、トータルで考えたときに、口座に利益が残るようなトレードをすることです。
トータルで利益が残るようなルールを作ってしまえば、株初心者であってもちゃんと稼ぐことができます。
今回は、初心者が株で稼ぐために必要不可欠な「売買ルール」の話をしっかりとお伝えしていきますね。
目次
売買ルールはトータルで勝つためのもの
売買ルールは、1回のトレードで勝つために作るのではなく、トータルで勝つために作るものです。
ひとつの銘柄をトレードした後の結果は、以下の3つになります。
- 利益が出る
- 損失が出る
- エントリーと同じ値段で決済し、損益が出ない(手数料だけ取られる)
たいていの場合は利益か損失になりますね。
これらのトレード結果を最後に差し引きしたとき、口座のお金が増えるルールを作ります。
もちろん、1回のトレードで利益が出るのが一番いいですが、損失が出ても大丈夫です。
つまり、負けてもいいんです。
トレードはひとつの銘柄で稼ぐゲームではありません。あくまで、考えなくちゃいけないのはトータルの結果です。
毎回のトレードで利益が出たと思っても、最終的に口座のお金がなくなっていたら意味ないですよね?
1回1回で勝つのが目的ではなく、お金を増やすのが目的なはずです。なので、1回のトレードでの勝ち負けにはこだわらないようにしてください。
そのためには、総合的に見た勝ち負けを考える必要があります。
勝ち負けを繰り返したあと、トータルで口座にお金が残るようなトレードをするということです。
野球の試合をイメージしてみてください。
Aチームが毎回1点ずつ安定して取り、Bチームをずっと0点におさえていたとします。9回の時点で、9対0です。
ここでAチームが油断し、最後の最後でBチームに10点を取られてしまいました。1回ごとの勝ち数はAチームのほうが多いですが、トータルで考えればもちろん、Bチームの大勝利です。
つまり、どれだけ負けの数が増えても、一発でその損失額を上回れば、何の問題もないということです。

反対に、連続で勝っていたとしても、1回の負けで大きな損失を出せば、利益はすべてチャラになってしまいます。安定しているように見えても、最後の一発で負けたらおしまいです。口座のお金は増えません。
このように、毎回の損失を小さくして勝ちの利益を大きくし、トータルで口座のお金を増やすための作戦が「売買ルール」になります。
売買ルールで決めること
では、具体的に売買ルールについて解説していきます。
売買ルールとは、基本的に次の3つから成り立っていると考えてください。
- エントリーするタイミング
- ロスカットするタイミング
- 利益を確定するタイミング
この3つが決まっていれば、ルールとしては十分です。
さらにこれに加えて、
- エントリーする株数を決める
- 様子見するときの条件を考える
- 選ぶ銘柄を限定する
- トレードする時間帯を作る
などなど、細かいルールはいくらでも設定できます。
細かいルールはあとからちょっとずつ加えていけばいいので、まずは最低限、買いと売りのルールは決めておきましょう。
- エントリーするタイミング
- ロスカットするタイミング
- 利益を確定するタイミング
この3つのタイミングのルール化です。
エントリーするタイミングの中には、どんな銘柄を選ぶかも含まれます。ルール通りのタイミングが来た銘柄を、トレードする銘柄として選ぶわけです。
そして、作った売買ルールでトレードを繰り返したときに、トータルで利益が残るようにしていきます。同じルールでの売買を、何回も繰り返すわけですね。
毎回のトレードでやり方を変えるのでありません。
勝とうが負けようが、決めたルールをとことん繰り返していきます。
これこそが、安定して株で稼ぐために必要なことです。
間違っても、毎回のトレードで勝とうと思ってはいけません。毎回のトレードでうまく勝ってやろうと思って、あれこれ注文をいじっても、うまくいきません。
マークシート式の試験なんかで、「答えがわからないから全部(ア)にした」といった経験はないですか?(笑)
バラバラに選べば、運が良ければ全部当たるかもしれませんが、全部外れる可能性もあります。しかし、1つの選択肢で統一したら、全問正解にはならないでしょうが、全問外れることもめったにないでしょう。
トレードではこのように、全部の売買で勝とうとせず、しかし「最終的には負けていない」という状況を作り上げるのがポイントです。
そのためには、1回1回でうまくやろうと考えるのではなく、トータルで勝てるルールをひたすら繰り返していくことが必要になるわけです。
売買ルールの作り方
さて、それでは肝心の売買ルールを作る方法を説明します。
売買ルールを作るには、以下の流れで行ってください。
- 手法を1つ決める
- 手法にそって銘柄を選び、エントリー、ロスカット、利確のタイミングを決める
- 決めたルールで、何度もデモトレードを繰り返す
- 損益の結果を記録する
- 何回か繰り返したら、タイミングを少しずらしてみる
- またデモトレードを繰り返す
- いくつかパターンが集まったら、もっとも期待値の高いルールを採用する
それぞれ、詳しく解説していきます。
1.手法を1つ決める
まずは、手法を1つ決めてください。
手法とは、すでに分析されて、効果があるとわかっている株の売買方法です。
たとえば、移動平均線、ボリンジャーバンド、ストキャスティクス、MACD、RSIなどのテクニカル指標を使った基本のエントリー手法。ネットで公開されている手法があればそれでもいいですし、グランビルの法則、三角持ち合い抜け、ローソク足の足組なんかを見てもいいです。
さらには、もっと細かな分析がなされた、有料で売られている成功確率のより高い手法を買うのも有りですね。
どれでもいいので、自分がコレというものを選んでみてください。
どれが一番すぐれているとかはないですが、やはり無料で手に入るものよりは、有料で売られているもののほうが信ぴょう性は高いです。というか、分析がより細かいので、より精度が高くなります。
最初は、「コレ良さそう!」と直感で気に入ったものでもいいでしょう。ネットで検索してもいいですし、本から学んでもいいと思います。
2.手法にそって銘柄を選び、エントリー、ロスカット、利確のタイミングを決める
1つに決めたら、その手法どおりに銘柄を選びます。選んだ手法が示すサインが出ているかを確認し、サインの出た銘柄をひたすらリストアップしていきます。
ここで、エントリーポイント、ロスカットポイント、利確のポイントをそれぞれ1つ決めておきます。
すべて手法に書いてあるなら、そのまま使ってもらえばOKです。しかし、書いていなかったり複数のタイミングがある場合は、自分で決めたものをいろいろと試してみる必要があります。
おそらく、エントリーのタイミングはたいていわかると思いますが、ロスカットや利確のポイントは決まっていないことがほとんどです。ロスカットと利確が、売買ルールづくりで一番難しい部分になると思います。
いろいろなやり方がありますが、初めてでよくわからないうちは、パーセンテージで決めておくのがオススメです。
買値から2%下がったらロスカット、5%上がったら利確、などですね。
あとあと調節していけばいいので、まずはこのくらいを目安にやってみてください。
3.決めたルールで、何度もデモトレードを繰り返す
- エントリーするタイミング
- ロスカットするタイミング
- 利益を確定するタイミング
手法に沿ってこの3つが決まったら、あとはそれを実際に試していきます。
実際に試すといっても、お金をかけるわけではありません。お金をかけた「フリ」で、トレードしてください。
お金をかけてしまうと、損失が出たときにもったいないですし、何より冷静な売買ができなくなります。お金がかかってないのなら、変な話なんでもアリです(笑)
リアルタイムでやらなくても、後から過去のチャートを見返してもいいわけです。リアルタイムでも過去のチャートでもいいので、とにかく同じ売買ルールでの「トレード回数」を増やしてください。
4.損益の結果を記録する
デモトレードを行うたびに、損益の結果を記録していきましょう。
手書きでもいいですし、エクセルなどに打ち込んでいってもいいと思います。いくら負けて、いくら勝ったのかを記録してください。
何十回とトレードしたあとに、お金が残っているかどうかがポイントですね。
「実際にお金をかけていたら儲かってたのに…」と切ない気分になるか、「実際にお金をかけていなくてよかった…」とホッとするか、どちらかになります(笑)
5.何回か繰り返したら、タイミングを少しずらしてみる
ある程度トレード回数が集まったら、今度は3つのタイミングを少しずらします。
たとえば、先ほどの2%ロスカットを3%にしてみるとか、5%の利確を10%にしてみるとか、ですね。
テクニカルを使っているなら、テクニカルの数値を変えてみたりして、ちょっとずつタイミングをずらしていきます。
6.またデモトレードを繰り返す
そしてずらしたタイミングで、再度デモトレードです。また、何回か繰り返して行います。
ただ、「何回も」と言っていますが、1日で何十回とやる必要はありません。毎日1トレードずつくらいで続けても、1ヶ月で30トレード分の結果が集まります。30も集まれば十分ですね。
ムリして一気にやらなくてもいいです。コツコツやっていけば、そのうちデモトレードの記録が集まってきます。もちろんやる気満々でがんばれる人は、1日で30トレード分やってもかまいません!
回数はあなた自身で決めてもらえばいいですが、各パターンで統一しておくといいですね。パターンAを30回やったら、次はパターンBを30回、のような感じです。
7.いくつかパターンが集まったら、もっとも期待値の高いルールを採用する
このようにずっとデモトレードしていると、だんだんと「一番良さそうなタイミング」が見えてきます。決めた回数分のトレード結果が出そろったら、どのパターンが一番いいか判断しましょう。
最初はシンプルに、トータルでもっとも儲かったルールを選んでみてください。ごちゃごちゃした計算が苦手であれば、まずはそれで十分です。
そこから徐々に、期待値で考えるようにしていってください。
期待値とは、1回のトレードで平均どれだけ儲かったかを示すものですね。
計算式は次のとおりです。
(勝率×平均利益)-(負け率×平均損失)=期待値
もしくは
トータル損益÷全部のトレード数=期待値
たとえば、10回トレードした利益の平均額が20万円、損失の平均額が4万円だとします。
この10回のトレードのうち、勝ちが2回で、負けが8回あったのなら、
- (20%×200,000) – (80%×40,000)=8,000
つまりこのトレードでは、1回やるごとに8,000円のプラスになります。
負けの数は多いですが、期待値がプラスなので、トータル見れば勝てるわけですね。
期待値がマイナスになるようなら、1回トレードするごとにどんどんお金が減るので、勝ちの回数が多くても、そのルールではダメだということです。
期待値がプラスになるルールを採用するようにしましょう。
売買ルールを作ることのまとめ
今回は、売買ルール作りについて、お伝えしました。
売買ルールは、銘柄選びよりもはるかに大事です。
トータルで勝てるルールを作って、それを繰り返すことで、安定したトレードができるようになります。
1回1回のトレードの勝ち負けを考えるのではなく、全体で見て、最後に口座のお金が増えているかどうかを考えてください。
ルールを作るには、以下の流れで行います。
- 手法を1つ決める
- 手法にそって銘柄を選び、エントリー、ロスカット、利確のタイミングを決める
- 決めたルールで、何度もデモトレードを繰り返す
- 損益の結果を記録する
- 何回か繰り返したら、タイミングを少しずらしてみる
- またデモトレードを繰り返す
- いくつかパターンが集まったら、もっとも期待値の高いルールを採用する
このルール作りの作業は “非常に” めんどくさいです。めんどくさいですが、ルールが見つかるよりももっといいことがあります。
それは、「冷静にトレードするスキルが付く」ということです。
デモトレードで一心不乱にルールどおりにやるクセがつくと、不思議と実戦でもそのとおりにできるようになってきます。逆に言えば、このデモトレードの作業をしていないと、かんたんにルールを無視してしまい、結果的に口座のお金はマイナスになってしまいます。
株は始めてすぐに何十万も稼げるほど、甘いものではありません。もちろんビギナーズラックはあるでしょうが、安定はしません。
コツコツとデモトレードの作業を繰り返し、売買ルールづくりをやっていくことで、やっと安定して稼げるスキルが身に付きます。
そしてトータルで利益の残るルールを繰り返すことで、初心者も株で稼げるようになっていきます。
ルール作りというより、「練習」って感じですね。
適当な売買をしてお金を減らすのではなく、コツコツ売買ルールづくりをやっていきましょう!^^
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