
今回は、株トレードにおいて「リスクを取る」ことについて、解説します。
リスクを取ることがわかっていないと、株でまちがいなく大損します。株のトレードに限らず、あらゆる投資でも同じです。
必ず、トレードする際には、リスクがあることを理解しておきましょう。
では、あらためて質問です。
「あなたは株式をトレードする際、リスクを取っているでしょうか?」
こう質問すると、きっと
- 「株のリスクなんて当たり前」
- 「株にリスクはつきものだ」
- 「リスクがあるなんて百も承知だ」
と、思われる方が多いと思います。
リスクとは、つまり危険であるということ。株をやることは、いつもリスク(危険)が伴うことだってことは、十分わかっているはずですよね。
(株ってリスクがあるのか…と今わかった人は、絶対この先の記事を読み進めておいてください!)
さて、リスクがあるなんて当たり前にわかっている人がほとんどだと思いますが、そもそも株でリスクを取るって、どういうことなのでしょうか?
ただ単に、危険があるから気をつけよう、という認識では、トレードで利益を出すことはできません。
実は、株でリスクを取るってことは、すでに「お金を失った状態である」と考えることなのです。
目次
株を買った時点でお金を失うリスクがある
トレードは何のためにするのかと聞くと、たいていの人は「お金を増やすため」と答えるでしょう。
もちろんその通りです。
トレードの目的は、投じたお金よりも多くのお金を稼ぐこと。利益を出すことにあります。
しかし、これを勘違いして、
「株でトレードすれば、お金が増える」
と思ってしまうと、まずいです。
トレードは確かにお金が増える可能性を秘めていますが、同時にお金が減る可能性だってあります。
当たり前のことを言っているようですが、株を買った瞬間に、このことを忘れてはいないでしょうか?
- 「よし、指値で買えた。さあ、上がれー!」
- 「あと10円上がれば、1万円の儲けだ!」
- 「これ以上の損失はイヤだから、なんとか上がって……!」
など、都合のいいほうばかりに考えていませんか?
株におけるリスクとは
株の世界において、リスクと言われたら、口座のお金が減ることを指しますよね。
口座のお金が減るっていうのは、もちろん株価が下がったときに減ります。
だから、「株価が上がればリスクはない」と考えてしまいがちですが、それは違います。
株は、買った時点で、もうリスクを取っています。
株を買ったその瞬間に、あなたはリスクを背負っているのです。
株式投資、もしくは株のトレードにおいて「リスク」というのは、最初に支払うべき「費用」です。
株を買ったということは、それだけの対価を支払ったと同じこと。
「費用」を払って、「買い物」したのと同じことなんです。
今って、株のトレードはすべてオンライン上でのやり取りですよね。
でも、ちょっと前までは証券会社で「株券」を買っていたわけです。お金を払い、その代わりに、株券を受け取っていたわけですね。

こうやって、買ったものが手元に残っていると、「ああ、自分は買い物したんだな」という気になるかもしれません。
ですが、今はすべてオンライン上のやり取りです。流行りの仮想通貨と同じで、画面の上でデジタルの数字が変わるだけです。
株を買った瞬間も、買付余力の数字が減るだけで、手元には何もありません。
そのため、「お金を払って買い物した」っていう感覚がないわけです。
ですが、実際はリスクの金額も合わせて、買い物しているのと同じです。
「株式投資にはリスクが伴う」の意味は、「リスクの金額分の費用を支払っている」ということです。
つまり株を買った時点で、すでにリスクの金額分を失っているのと同じなのです。
株取引で取るリスクの金額とは
じゃあ、いったい株を買う際に必要なお金はいくらかかるのか。
ふつうは、その時点での(株価×株数)と、あと手数料ですよね。
しかしこれだけでは、「リスクの金額」が入っていません。
株を買うときには、上記の値段+リスクの金額を考えるようにしてください。
リスクの金額とはつまり、「ロスカットで失う最大の金額」のことです。
たとえば1,000円の株を100株買ったとします。そして、990円に下がったらロスカットする設定にしました。
この場合、このトレードにかかる費用は手数料に加えて、
- 1,000円×100株=100.000円【株価と株数】
- (1,000円-990円)×100株=1,000円【ロスカット代】
つまり、合計101,000円(+手数料)です。
(1,000円-990円)×100株=1,000円の部分は、ロスカットで支払う費用ですね。
マイナス10円分×100株=1,000円のロスカット代です。
仮に980円でロスカットするなら、マイナス20円分×100株=2,000円のロスカット代になります。
このロスカット代をあらかじめ計算に入れておくことで、もし株価が下がってロスカットになった場合でも、すんなり受け入れることができます。
だって、株を買うためにすでに支払った費用なのですから、当然ですよね。
買い物するときに支払う代金は、ふつう買い物したあとに手元へ戻ってくることはないですよね。
これが、本当の意味での「リスクを取る」ということです。
リスクがあることがわかっていても、実際に買った株が下がり始めると、どうしてもそのリスクを拒否したくなります。
それは、最初からリスクの金額を考えていないからなんですね。
リスク分の金額を払った認識がないと、
- 精神が不安定になる
↓ - 焦って冷静な判断ができない
↓ - ロスカットを引き下げる
↓ - 挙句の果てにロスカットをやめる
↓ - さらに下で買い増し(ナンピン)
↓ - さらに損失が膨らんで、我慢の限界
↓ - ようやく売る
↓ - 売ったところから、反発して上がり始める
という、最悪の循環に入ってしまいます。
想定していたロスカット代金を、はるかに上回る金額で売るハメになってしまうわけです。
しっかりとロスカットするためにも、株を買う瞬間には、必ずリスクの金額も含めて、費用として計算しておきましょう!
リスクを計算に入れてトレードするためのステップ
なるほど、そういうことか…
と、頭ではわかっても、なかなか行動に移すのが難しいかもしれませんので、以下にリスクを取るためのステップを簡単にまとめます。
1.ロスカットの金額を決める(ルールの確認)
まずは、あなたのルールを確認して、取れるロスカットの金額を決めましょう。
ロスカットの位置を決めて、逆算すればOKです。
マイナスいくら分×株数の計算で出せます。
たとえば、マイナス10円でロスカットするなら、
- マイナス10円×500株=マイナス5,000円
といった具合です。
2.お金を払って買い物する感覚でエントリーする
エントリーする際には、儲けようと思うのではなく、買い物すると思ってエントリーしてみてください。
もちろん、費用には先ほど計算した、ロスカットの代金を含めましょう。
買い物すると思うことで、もうその金額は戻ってこないと考えられるようになります。
3.逆指値でロスカットの設定する
エントリーが決まったら、すぐに逆指値注文を出して、ロスカット設定をしてください。
注文を出す位置は、もちろん先ほど計算で出した金額の位置です。
マイナス10円でロスカットするルールだったら、1,000円の株価を買った場合、逆指値位置は990円ですね。
で、さらに言うと、990円ぴったりで約定しないこともあるので、すべった分(少し下がってしまった分)も考慮しておくといいかもしれません。
このとき、ロスカット代に決めた金額は、戻ってこないものだと思いましょう。
買い物する際に支払ったお金は、手元には戻ってきません!
株でリスクを取ることのまとめ
株でリスクを取るということは、買うときすでにお金が減っていると考えることです。
- 「上がるから、口座のお金が増える!」
と思って買うのではなくて、
- 「もう口座のお金が●●円なくなった」
と思って、買いましょう。
で、それが上がったら「儲かってラッキー」くらいの気持ちでいてください。
こうすることで、ロスカットできなくなったり、「なんで上がらないんだ!」と嘆くこともなくなります。
結果、安定したトレードにつながり、気づいたときには口座のお金も増えているわけです。
もう一度ステップをまとめると、
- ロスカットの金額を決める(ルールの確認)
- お金を払って買い物する感覚でエントリーする
- 逆指値でロスカットの設定する(払ったお金は戻ってきません!)
という流れです。
考え方を変えるだけで、トレードに対する見方がガラッと変わり、うまくロスカットできるようになります。
逆説的ですが、「口座のお金を増やすには、口座のお金を増やさないと思ってトレードする」ことがポイントです。
ぜひこの考え方で、きちんとリスクを取って、トレードしてくださいね!